AI・機械学習の最初の定義は、アメリカの計算機科学者アーサー・リー・サミュエルによって提唱されました。機械学習がスポットライトを浴びていますが「教師あり学習」「教師なし学習」の違いを理解した上で、最適な学習方法を活用しましょう。 『教師あり学習』と『教師なし学習』の違いとは何だろう?教師あり学習は、どのようなものに活用されているのだろう?教師あり学習を活用する際の注意点はないのだろうか? この記事では、教師あり学習のアルゴリズムの仕組みや活用事例について詳しく解説します。教師あり学習と教師なし学習の違い結論から説明すると、『教師あり学習』と『教師なし学習』の違いは学習のために利用するデータにその答え(ラベル)が付いているかどうかです。教師あり学習は、入力データとラベルがセットになったものを学ばせる学習方法です。その一方で、教師なし学習とは入力データだけを学ばせる学習方法となっています。そのため、アルゴリズムが異なります。教師あり学習(入力・出力データから予測モデルを解釈する)で利用されるアルゴリズムは「分類」「回帰」です。その一方で、教師なし学習(入力データをグループ化して解釈する)で利用されるアルゴリズムは「クラスタリング」「アソシエーション分析」となります。このアルゴリズムについて詳細を確認していきましょう。アルゴリズムの種類機械学習の違いが正しく述べられるように、アルゴリズムについて理解を深めておきましょう。【教師あり学習】(※)分類と回帰のアルゴリズムが組み合わさったものもあります。 【教師なし学習】上記からも分かるように、教師あり学習とは、ラベルが付いたデータを読み込ませて正誤を判断していくものです。その一方で、教師なし学習はラベルがついておらず、データの法則性を見出して正解を導いていく手法です。教師あり学習とは教師あり学習とは「教師データから正解を予測する学習手法」と説明しました。機械学習の手法「教師あり学習」を選ぶとどのような効果が得られるのでしょうか?ここでは、教師あり学習のメリット・デメリットについて詳しく解説します。メリット教師あり学習は教師データから正解を予測する学習方法のため精度が高いです。また、教師なし学習のような自発的な学習行わないため、正確な解答までのスピードが速くなります。そのため、データと照らし合わせて正誤を判断するAIを開発したいという方に向いています。デメリット教師あり学習は教師データ(ラベルが付いたデータ)の品質と数を維持しなければいけません。教師データの品質が悪いと精度が落ちてしまうため注意してください。また、膨大な数の教師データを読み込ませなければいけません。教師あり学習に必要な教師データを作成することをアノテーションといいますが、業務には莫大なリソースが必要となります。精度が高いAI開発をしたいけれど、アノテーション業務の負担(ヒト・カネ・ノウハウ)が大きいと躊躇する企業も珍しくありません。教師あり学習で必要となるアノテーション業務の詳しい情報は「アノテーション業務とは?精度向上と業務効率化を実現するポイント」を参考にしてください。補足:ビッグデータを活用するために注目を浴びる機械学習を耳にした経験がある方もいますが、ビッグデータの登場により注目度が高まりました。企業に蓄積されていくデータを活用するために、AIモデルに機械学習をさせて業務効率化を目指す企業が増えています。国内では働き方改革が始まり、業務効率化や生産性向上を具体的に考えていかなければいけなくなりました。働き方改革の大きな鍵を握るのが『AI』です。このような働き方改革の制度の登場やビッグデータの登場により、機械学習は大きな注目を浴びています。教師あり学習の仕組み次に、教師あり学習の仕組みについて解説します。教師データをAIモデルに学習させるAIモデルに判断基準となるデータ(教師データ)を学習させていく必要があります。AIモデルに学習させるためには、データにラベルを付けて教師データを作成しなけばいけません。教師データを作成する業務をアノテーション業務といいます。例えば、犬の画像を用意して「この画像は犬です」とラベルを付けたしたものをAIモデルに読み込ませるためにデータを作成しなければいけません。 正解の特徴と関係性を見出すAIモデルは教師データとテストデータの特徴量を抽出して関係性を見出していきます。例えば、犬の画像を読み込ませたとき「大きく垂れた耳があるから犬の写真だ」と”大きく垂れた耳”を”特徴”とみなして正解を予測していきます。予測値を正解に近づけるAIは、画像から抽出できる特徴量から犬(確率80%)、猫(確率12%)、猿(確率8%)と確率論で予測していきます。このような仕組みを持つため、教師データの数が多いほど予測精度を高められます。そのため、教師あり学習のAIモデルを開発するためには大量の教師データを用意しなければいけません。 教師あり学習の活用事例教師あり学習を活用する際の5つのポイント教師あり学習の仕組みや活用事例について理解して頂けたと思います。教師あり学習を活用したAIを開発したいと思った方もいるのではないでしょうか?しかし、教師あり学習は教師データにより性能が左右するため、以下の点に注意をしましょう。 1.適切なアルゴリズムを選択するこの記事では、教師あり学習と教師なし学習の違いはアルゴリズムであると説明しました。各手法のアルゴリズムについて理解を深めて適切な手法を選択してください。例えば、徹底的に精度を追求したい、速度が早い機械学習を希望したい方は教師あり学習が向いていると言えるでしょう。「どのようなAI開発をしたいのか?」「社内にデータが蓄積されているのか?」でも選ぶべき機械学習のアルゴリズムは変わります。 2.大量のデータが用意できるかを考える教師あり学習を活用する場合は、大量の教師データが用意できるかを考えてみてください。社内にデータが蓄積されていれば独自性の高いデータとして有効活用できるでしょう。データが蓄積されていない場合でも安心してください。Webクローラーで読み込んだり、オープンデータセットを活用したりなどの方法があります。大切なことは、開発したいAIに活用できる大量のデータが用意できるかです。AI開発前にデータについて良く考えてみましょう。AIに必要なデータ収集方法に関しては「AI活用・分析には必要なデータ収集が鍵!AI開発で抱える課題とは?」を参考にしてみてください。 3.教師データの品質を担保する機械学習ありの手法では教師データを活用します。教師データを基に正解を予測していくため、高品質なデータを用意しなければいけません。例えば、教師データのラベル付けが間違えていたら、誤った正解を基に予測するため精度が落ちてしまいます。このような問題が発生しないように教師データの品質は担保しましょう。 4.膨大な数の教師データを読み込ませる機械学習ありの手法の精度は、教師データの数により変動します。弊社の独自調査の結果でも、教師データの数に応じて精度が変わることが判明しました。そのため、AIモデルに膨大な数の教師データを読み込ませてください。◆当社の独自調査:教師データが多いほど制度が上がる5.PDCAで機械学習の精度を上げるAI精度を上げるためには、PDCAで機械学習の精度を上げていく必要があります。例えば、オープンデータセットのみで開発したAIは競合優位性に劣ります。そのため、社内にデータが蓄積されたタイミングで、新たな教師データを読み込ませていきましょう。このように機械学習はPDCAサイクルで改善していくことで、AIの精度を上げていけます。 まとめ今回は、教師あり学習のメリット・デメリットについて解説しました。教師あり学習は、教師データを参考に正誤を判断していくため、教師なし学習と比較すると精度が高いです。また、自己学習を必要としないため回答速度も速くなります。その一方で、教師データを作成する労力が必要なことが欠点となります。しかし、教師データ作成は代行することも可能です。アノテーション代行業務を活用して、教師データ作成の負担を1/6程度に軽減できた企業様もいます。FastLabelは、AI開発支援会社でアノテーション業務の代行をしています。従量課金型のため、少量のデータ作成など柔軟に対応できることが強み。お客様の要望に柔軟に対応できるため、教師あり学習に必要な教師データ作成にお悩みの方はお気軽にご相談ください。