データサイエンスの重要性が高まる中、これからのデータ活用をより効果的に進めていく上ではデータに対する解像度を高めていく必要があります。データへの理解を深める上で、重要になるのが構造化データと非構造化データの違いです。企業が扱うデータは主にこの二つに分類されますが、これらを区別することによって、どのような違いが生まれるのでしょうか。今回は、構造化データと非構造化データの違いがもたらす影響や、それらを有効活用するための方法について、ご紹介します。構造化データについて構造化データは、「列」と「行」の概念を持ったデータです。指定されたフォーマットに従って、規則的にデータが記述されているため、コンピュータにとって可読性の高いデータ形式とされています。構造化データは、CRMなどの業務システムを運用する際に活躍しています。どこにどんな情報が記録されているか、ということをすぐに把握できるため、システム運用には欠かせないデータです。構造化データの例構造化データの代表的な例としては、Excelデータが挙げられます。メッシュ状に「列」と「行」が指定されており、どこにどんな記述があるのかを一目で検索可能です。また、CSVデータも構造化データの一種と言えます。これらのデータはリレーショナルデータベース(RDB)と呼ばれるデータベースに格納されて活用されており、RDBはSFAやCRMなど、多くの業務システムに採用されています。企業のデータ活用において、構造化データは大きな意味を持つというわけです。非構造化データについて一方の非構造化データですが、こちらは簡単に言えば「列」と「行」を持たないデータのことを指します。「列」と「行」の概念を持っていないデータは全て非構造化データなので、構造化データとの明確な線引きがあります。非構造化データは構造化データに比べ、データごとの意味が大きいことも特徴です。例えばメールデータは人がメールでコミュニケーションをするために使われますし、人間にとっての読みやすさを重視したテキストデータです。あるいはPowerPointを使ったプレゼン資料も、人間にとって読みやすく、なおかつ印象的な体験を与えるための技法が凝らされています。これらは私たちの一般生活にとって役に立つものの、構造化データと比べて規則性が薄く、コンピュータにとっては可読性に問題を抱えています。非構造化データの例非構造化データの例を挙げると、枚挙にいとまがありません。上に紹介したメールやプレゼン資料はもちろん、契約書や契約書、音声データ、画像データなどは全て非構造化データです。それぞれに別個の役割が与えられているため、その種類も多く、ひとまとめにするのが難しいデータと言えます。企業が抱えるデータの大半は非構造化データ以上のような構造化データと非構造化データの違いからわかるように、企業活動や私たちの生活の中で一般的に扱うデータの大半は、非構造化データです。構造化データはデータとして均質化され過ぎており、私たちが感覚的に扱うにはとっかかりが少ないためです。データ活用を効率よく進めていくためには、一度社内にある非構造化データを全て洗い出してみるところから始めましょう。半構造化データとは構造化データと非構造化データとは別に、半構造化データと呼ばれるものもあります。半構造化データは非構造化データの一種ですが、データそのものに一定の規則性があり、構造化データとなり得る可能性を持っているのが特徴です。通常、非構造化データはデータベースとして表の中に落とし込むことができないとされており、そのためには構造化が必要とされています。しかし半構造化データは表に落とし込める要素をはらんでおり、構造化データのような特徴を持ち合わせています。具体的なデータ形式としては、XML形式やJSON形式のデータが当てはまります。ただ、半構造化データは部分的に構造化がされているとはいえ、完全な構造化が行われているわけではないため、通常の非構造化データと同様の処理が求められます。構造化データのメリット構造化データは人間にとっては可読性が低いのですが、データ活用の現場では大いに役立っています。構造化データのメリットについて、ご紹介します。ツールの運用を促進できる構造化データの主な運用用途は、データ活用の推進です。構造化データはデータベースにデータを格納するために特化した形式であり、コンピュータにとって最も可読性の高い形式でもあります。顧客情報や売上記録などは全て構造化してしまうことで、CRMを使った顧客情報の分析や、最適なマーケティング施策の考案などに繋げることができます。勤怠情報を構造化データにすることで、データサイズを最小限に抑えながら、人事評価や労務管理の改善を促すことも可能です。このように、構造化データは汎用性が高く、個性がないだけに使い方次第で多用途に活躍します。AI活用を後押ししてくれる構造化データは、AI活用においても重要な意味を持ちます。コンピュータの演算処理にデータを最適化することで、効率よく学習を進められます。AIの開発には膨大なデータ量を必要としますが、量だけでなく質にも配慮しなければなりません。コンピュータが読み込みやすいデータ環境を整備することで、学習スピードの向上と精度の改善を見込めます。近年はディープラーニングの登場によって、非構造化データでも機械学習を進められるようになってきました。しかしまだまだ構造化データを使った機械学習のニーズは大きく、AI以外の用途も豊富なことから、重宝されるでしょう。構造化データのデメリット大いに活躍の機会に恵まれている構造化データですが、運用に当たってはデメリットもあるため、注意が必要です。運用のためにはデータ変換が必要まず、構造化データはそのままでは大きな意味を持たないため、構造化データを目的に応じた形式に変換して運用する必要があります。そのためには専用のシステムを導入し、人間にとっての可読性を確保する必要があります。構造化したからといってデータ活用を直接実現できるわけではない点は注意しましょう。目的に応じた構造化が必要また、構造化データは汎用性に優れる一方、あらかじめ定義づけられた目的以外での活用はできなくなります。構造化によって、多様なシステムに流し込めるようにはなるものの、全ての目的に通用するデータセットとすることはできません。データを構造化データに変換する際、目的に応じたプロセスで構造化が行えているか、精査しましょう。非構造化データのメリット続いては、非構造化データのメリットです。非構造化データは構造化データのような画一性を持たない分、個性を生かしたデータ活用が望めます。人間にとって可読性が高いまず、非構造化データは人間にとって可読性が高いという強みを持ちます。メールを読んだり、音声を聞いたりなど、感覚的に理解できる情報になっているため、インプットの負荷は小さいのが特徴です。誰でも扱える非構造化データは感覚的な理解ができる分、誰にでも扱えるという強みも持ちます。構造化データを理解するためには、コンピュータと同じプロセスでデータを理解するスキルが問われるため、データサイエンスに知見がなければ何を意味する情報かを判別できないでしょう。非構造化データは、人間に最適化されたデータ形式であるため、そういった心配はありません。データ収集が簡単非構造化データは、収集が簡単という強みもあります。私たちの身の回りにある多くのデータは非構造化データであるため、分析に必要なデータを集めようとすれば、非構造化データでの収集となるでしょう。とにかく母数を増やしたいという場合には、まずは非構造化データでの収集となります。非構造化データのデメリット非構造化データは人間にとって扱いやすいデータである反面、コンピュータにとっては理解し難いデータ形態でもあります。分析には高度なデータサイエンス能力が必要非構造化データを使って直接分析を行う場合、非構造化データを読み込めるシステムを用意するか、データサイエンティストが構造化データに変換する作業が求められます。構造化データと非構造化データを分類するのは簡単ですが、非構造化データを構造化データに変換するのは技術が必要です。非構造化データをそのままAIに読み込める仕組みも登場しているものの、ディープラーニングのような高度な開発が求められるため、誰にでもできるものではないのが現状です。ストレージを圧迫する非構造化データは扱いやすいデータですが、情報としては無駄なデータも多く含まれているのがデメリットです。データ活用の効率化を進め、あらゆる社内情報をデジタルに変換すると、次に問題となってくるのがストレージの問題です。デジタル化によって物理的なキャパシティからは解放される一方、デジタルでのストレージ容量の圧迫が進みます。ストレージも物理情報と同様に容量制限があるため、余計なデータで圧迫してしまうと、管理コストがかさみます。ストレージへの負担を減らすためにも、非構造化データの数を減らすことが求められます。データの検索が難しくなる非構造化データを一つ一つみる分には支障はありませんが、大量の非構造化データとなると話は変わります。それらのデータを必要に応じて検索する際、どれがどのデータなのかを判断、あるいは検索することが難しいため、業務に支障をきたす可能性があります。可読性よりもデータとしての実用性を重視するためには、データの構造化が必要です。非構造化データが企業に与える悪影響非構造化データを長期間活用していると、企業活動にも悪影響をきたします。データ活用の負担を大きくする要因になる非構造化データは、データ活用の推進を妨げる可能性があります。というのも、上述のようにストレージを圧迫するだけでなく、データベースに保管するデータとしても適していないため、データ検索やシステムに流し込んでの活用を阻んでしまう可能性があるためです。RPAやSFAなどの業務システムを有効活用するためには、まず非構造化データの整理を始める必要があるでしょう。セキュリティ対策が難しい非構造化データは非定型なデータであるため、データを強固に管理することが難しくなります。構造化データであれば一つのデータベースに情報を一本化し、利用者権限を設定することで機密情報への不要なアクセスを避けられますが、非構造データはそういった活用方法が難しくなります。データ管理がおぼつかず、閲覧記録の足取りなども掴みづらい環境では、企業のセキュリティ対策改善も難しくなります。非構造化データ活用を進めるためのポイント非構造化データを正しく扱うためには、クラウドサービスの活用、そして非構造化データの構造化に注力する必要があるでしょう。クラウドサービスを活用するネット経由で利用可能なクラウドサービスは、自社リソースへの負担を最小限に抑えながらデータ活用をするための便利なサービスです。どうしても構造化できないデータをクラウドストレージで管理したり、セキュリティ対策をクラウド管理によって強化したりと、多くのメリットが見込めます。ぜひ活用しましょう。非構造化データの構造化を推進する非構造化データである必要のないデータは、できるだけ構造化データへと変換してしまうのがベターです。ストレージへの負荷も小さくなり、システムにデータを流し込んで業務効率化を進めたり、AI活用へ発展させたりとできます。構造化にはデータサイエンスの知見が求められますが、それだけの価値はある作業です。FastLabelが非構造化データ活用のために役立てること非構造化データの構造化には人手も技術も求められますが、そんな時に役立てていただきたいのがFastLabelのアノテーションサービスです。専門のアノテーションチームがデータの構造化に対応FastLabelではデータサイエンスに知見のあるアノテーションチームがクライアントデータに対応し、データの構造化に活躍してくれます。データサイエンス未経験者に任せるよりも遥かに効率的で、クオリティにおいても高水準を誇るため、業務効率化と品質の両軸でサービスを利用できます。専用プラットフォームで進捗管理も効率化また、FastLabelを利用する際には専用の進捗管理システムを通じてマネジメントができるため、フィードバックなどもスムーズに行えます。アノテーションチームとクライアントが素早くコミュニケーションできる場を提供し、企業のデータ活用に推進力をもたらします。まとめ今回は、構造化データと非構造化データの違いや、それぞれの活用方法、必要性についてご紹介しました。構造化データはデータ活用を進めていく上では欠かせない視点で、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)へ大いに貢献します。クラウドサービスやデータ変換サービスを活用し、効率的なデータ活用環境を目指しましょう。