AIによる画像分類の技術は多様な業種で活用されるようになってきました。製造業では異物混入、医療業では病変検知などに活用されており、AI画像分類は大きな注目を浴びています。この画像分類は、どのような仕組みで行えるものなでしょうか?AI画像分類の仕組みについて理解を深めることにより、高精度なシステム開発が行えるため学習しておきましょう。この記事では、AIによる画像分類の仕組みについて詳しく解説します。AIを画像分野で活用する方法AIは、様々な領域で活用が進んでいますが、物体検知や画像の分類など画像・イメージの分野でも活用されます。 得意分野AIの画像分野で得意とすることは、以下の3つです。 1.物体検知画像中にある物体の位置と種類を予測します。例えば、近年水災害リスクが高まっていることから、その対策のためにAIが活用されています。AIが河川の画像から水量を推測、越水を検知して危険度を推定し各所へ通知する取り組みは非常に注目を浴びています。2.画像生成画像を検知して新しい画像生成をします。自分の写真を撮影して30年後の未来の姿が見られたり、性別を変えた場合の姿を見られたりして遊べるアプリを使用した経験がある方もいるのではないでしょうか?このようなアプリには、画像生成の技術が搭載されています。3.画像分類今回の記事で取り上げる画像分類もAIの得意分野です。画像分類の技術を活用すれば、製造工程に必要な検品作業(不良品の除外)を自動化できます。詳しくは後述しますが、さまざまな分野で活用されています。 不得意分野AI技術は進歩していますが、人間が持つ常識や倫理は残念ながら持ち合わせていません。当然の話になりますが、AIモデルに学習させたものでなければ画像分類は行えません。近頃はディープラニング(十分なデータを学習させておけば、AIが自動学習していけるようになること)が注目を浴びています。しかし、AIモデルに何も学習させなければディープラニングは行えません。また、精度も完璧とは言えなかったり、人間が判別できないものは正解に導けなかったりなど、AI研究の課題は山積みです。 AI画像分類の仕組み次に、AI画像分類の仕組みについて解説します。 1.画像データを準備するAIで画像分類をさせるためには「この画像は犬」「この画像は猫」と事前に教えてあげる必要があります。そのため、分類して欲しい画像データ(犬と猫)を用意しなければいけません。画像データの収集方法は、自社で撮影する方法やオープンデータを利用する方法、第三者にデータ収集を委託する方法があります。画像データの準備ができたら、画像の特徴量が抽出できるように後処理をしておきましょう。画像データ収集方法について詳しく知りたい方は「データセット とは?AIシステム精度を決めるデータの作り方のポイント」をご参考にしてください 2.画像のラベル付けをする画像データの準備ができたら、AIが「犬」と「猫」の特徴が抽出できるようにラベル付けします。例えば、茶色の毛が見えても犬か猫か判別がしにくいでしょう。しかし、大きな垂れた耳があれば犬と判別できます。画像分類をさせるためには、特徴(犬の大きな垂れた耳など)の範囲を指定してラベル付けをします。このようなラベル付けを、AI業界では「プーリング」または「畳み込み」と呼ぶので覚えておきましょう。 3.特徴を学習させるラベル付けした画像データをAIモデルに読み込ませます。AIは確率論で特徴を判別していきます。例えば、大きく垂れた耳の特徴を検出した後に、犬の確率80%、猫の確率15%、その他の確率5%と判別が行われるのです。この場合は「犬」と判定されます。確率の精度は、AIモデルに読み込ませる教師データの数と品質で変わります。したがって、高品質な教師データを大量に読み込ませて判別させたい対象物の特徴を学習させましょう。 4.AIモデル評価をするAIモデルに特徴を学習させたら性能テストを行います。新しい画像を用意して「犬」と「猫」を判別できるか確認していきましょう。AIモデル評価で理想の結果が出ない場合があります。例えば、犬は判別できるが、猫は判別できない場合もあるでしょう。このような場合は、猫の画像を追加でAIモデルへ読み込ませてください。5.チューニングするAIモデル評価後にチューニングを行いましょう。チューニングとはAI精度を上げるために、入力データやパラメータを調整・修正することをいいます。正しいチューニングを行えば、AI精度を向上させられます。 AI画像分類の3つのポイントAI画像分類の仕組みを解説しましたが、AIモデルに教師データを読み込ませる場合にはポイントがあります。 1.AI画像分類の利用用途を明確にする画像分類のAI開発を行う前に目的(利用用途)を明確に定めてください。画像の単独の特徴を抽出したいのか、複数の特徴を抽出したいのかにより、必要な画像枚数が変わります。また、画像分類の速度を上げたければ、高品質な教師データを膨大に用意しなければいけません。AI活用の目的を明確にしなければ、開発工程がズレたり性能が落ちたりします。そのため、最初にAI分類のの利用用途を明確にしましょう。 2.画像データの品質を合わせるAIモデルに読み込ませる画像データの品質は統一させましょう。解像度や光彩度など画像にバラつきがあると、その影響でAIモデルが特徴を判別しにくくなります。そのため、撮影環境を整えて画像品質を統一して安定させましょう。また、画像の後処理などでも、データ品質のバラつきが抑えられます。 3.特徴が抽出できるデータに加工する読み込ませる画像に余分な情報が含まれている場合は、加工して削除しましょう。例えば、犬を散歩させている画像で買主の足が写り込んでいる場合は、犬の箇所だけをトリミングして拡大しておきます。また、画像が暗くて特徴が抽出しにくい場合は、光量を増やしてコントラストを付けてください。このように特徴が抽出できるデータに加工してモデルに読み込ませれば、画像分類の精度が上げられます。 【業種別】AI画像分類の活用方法AI画像分類について解説しましたが、多種多様な業種で活用されています。どのような業種で活用されているのでしょうか?ここでは、AI画像分類の活用方法をご紹介します。 在庫管理(物流業)物流業では在庫管理にAI技術が使用されています。モバイルカメラや固定カメラで商品陳列棚を撮影すれば、在庫管理が自動化できます。AIを活用すれば、文字まで認識が可能です。そのため、リアルタイムの在庫管理や価格情報を一元管理できます。異物混入検査(製造業)製造業では異物混入検査にAI技術が使用されています。製造工程の異物混入検査の判断を人に委ねるとバラつきが出ますが、AIで判断を自動化すればバラつきも抑えることも可能です。AI装置を製造ラインに取り付けて、異物混入検査を自動化する企業は増えています。検査ミスを避けられて業務効率化が図れるため、製造業の異物混入検査システムを導入する企業が増えています。画像診断(医療業)医療業では画像診断にAI技術が使用されています。内視鏡検査では、AI画像分類が活用されており、リアルタイムで画像診断を支援するソフトウェアが開発されています。内視鏡検査の画像を解析して病変が映っているかを推測し、医師の診断の補助するものです。病変が映っていた場合は通知してくれるため、病気の見落としが防止できます。 【成功事例】境目のない表情の分類を事前定義とリアルタイムな認識合わせでスムーズに実施「家族の幸せを生み出すあたらしい社会インフラを世界中で創り出す」ことをパーパス(存在意義)として、保育・育児関連の社会課題をDXを通じて解決するChildcare-Tech領域のスタートアップであるユニファ株式会社。「スマート保育園®」というコンセプトを掲げ保育者の方の業務負担削減につながるソリューションを提供されている中で、一部サービスで活用するための表情認識モデルの開発に、約6万件の顔(表情)データのアノテーションが必要でした。表情の合間に明確な境目がなく、例えば、ラベルの一つである寝顔において「眠っているが、うっすら目が開いている顔は寝顔なのかそうではないのか」といったケースなど判断が難しいものも多くありました。定義づけが非常に難しい中、FastLabelのプラットフォームを活用しユニファ様側もリアルタイムにレビューができることで、認識のズレをなくしながら、品質の高いデータ作成することができ、結果AIの精度も2,3割向上をしました。ユニファ株式会社様のFastLabel活用事例はコチラからお読みください。 まとめ今回は、AI画像分類について解説しました。最後にAIの画像分類の仕組みをおさらいしておきましょう。【AIの画像分類の手順】画像データを準備する画像のラベル付けをする特徴を学習させるAIモデル評価をするチューニングする画像分類は確率論で判別されていくため、教師データの「数」「品質」を担保する必要があります。開発したいAIによっては、オープンデータセットがない場合もあります。また、システムの精度を高めたい方や優位性を持たせたい場合は、自社でデータ収集・作成をしなければいけません。このようなにAI開発に必要なデータ収集・作成が必要になった場合は「FastLabel」までご相談ください。FastLableは、AI開発支援を中心に行っているため、高品質なデータを提供できます。AIに必要なデータ収集・作成でお力になれるはずです。ぜひ、お気軽にお問い合わせください。