ニューノマル時代のビジネスで「タッチレス」「コンタクトレス」で本人確認が行える顔認識(顔認証)が注目を浴びています。スマートフォンのログインで顔認証を使用している方は多いと思いますが、顔認識はどのような仕組みで行われているのでしょうか?この記事では、顔認識の仕組みやシステム開発の注意点まで解説します。顔認識システムの開発を検討している方は、ぜひ、この記事を参考にしてみてください。顔認識とは顔認識とは、デジタル画像から人物の顔を自動的に識別・抽出する技術をいいます。識別した顔から「性別」「年齢」「表情」を特定していきます。2005年に株式会社ニコンが米国技術を応用して、顔認識機能を搭載したコンパクトデジタルカメラを開発したことにより、国内で注目を集め出しました。現在では、他メーカーのデジタルカメラにも顔認識機能が搭載され、顔認証と呼ばれる発展技術も登場しています。認識方式顔認識の方式には2種類あります。(1)ビジュアル方式デジタル画像に写った顔の目・鼻・口の位置を確認し、AIモデルに読み込ませた正解データと照合して人物であると認識する方法です。ビジュアル方式は対応する端末が多く、汎用性に長けていることがメリットです。その一方で、髪型や化粧など撮影環境の変化に応じて認識精度が左右されやすいというデメリットがあります。(2) IR方式ビジュアル方式に赤外線センサーを加えて、顔を立体データとして認識する方法です。IR方式はビジュアル方式よりも精度が高くなることがメリットです。化粧や髪型を変えても認識に影響は出ません。しかし、赤外線センサーを使用するため、赤外線に対応する端末を用意しなければいけないことがデメリットになります。必要性米国の研究機関Kenneth Researchの調査報告書「認識市場:世界的な需要の分析及び機会展望2030年」によると、顔認識市場は2030年度までに約4.4兆円にまで達すると予測されています。顔認識は不正防止検知に役立つ技術として注目を浴びており、監視業務の改善や公共の場所での監視の需要の高まりにより、市場拡大されると予測されています。また、近年ではコロナ感染症対策として非接触型の検温システムが注目を浴びました。幅広いサービスに活用されており、今後も認識市場は拡大していくと予測されています。速報:顔認識に必要なデータセットが登場認識市場の拡大が予測される中で、先進国の米国では顔認識向けのデータセット「Webface260M」が公開されました。オープンデータセット「Webface260M」には、2億6,000万個の顔画像が登録されており、400万個の特徴が抽出できるようになっています。オープンデータセットのため、AI認識システム開発の研究に活用できます。しかし、「Webface260M」に含まれている人物画像は米国人ばかりです。日本人の顔画像は少量しか登録されていません。そのため、国内向けの顔認識システム開発には活用しにくいです。顔認識の仕組み顔認識は「顔検出」「特徴点検出」「顔照合」の仕組みにより識別する技術です。1.顔検出 画像の中から顔の領域を決定する2.特徴点検出 目・鼻・口などの特徴を正確に捉える3.顔照合 事前に登録した画像からAIが正確に顔の特徴を捉えて「本人」「他人」を判断する 顔認識システム開発時の3つのポイント顔認識技術を活用する場合は、以下のポイントを押さえておきましょう。1.各状況に応じたデータを用意する顔認識は、顔の向きや照明・逆光・表情・経年変化などのさまざまな利用環境や撮影条件による影響が想定されます。顔認識技術とは、事前に登録した画像からAIが正確に顔の特徴を捉えて「本人」「他人」を判断するものと説明しました。そのため、各状況に応じたデータを事前に登録しておく必要があります。2.データの品質を揃える顔認識技術の精度を上げるためには、登録データの品質を揃える必要があります。例えば、解像度が異なるデータを事前登録してしまうと、AIモデルが混乱を招き顔認識の精度が落ちてしまいます。このようなトラブルを防止するために、データの品質は揃えましょう。3.プライバシー保護に注意する顔認識で取得したデータは個人情報に該当します。監視カメラのように録画をせずに監視する場合は個人情報に該当しません。しかし、デジタル画像で保存する場合は個人情報に該当します。そのため、顔認識で取得したデータを保存する場合、プライバシー保護に注意しましょう。■プライバシー保護とは内容の正確性の確保:利用目的の範囲内でしか利用してはいけない利用する必要がなくなったデータは遅滞なく消去する安全管理措置:個人情報の漏洩、滅失を防止する安全管理措置を行う従業員・委託先の監督:個人情報を従業員や委託先に使わせる場合は監督を行う第三者提供の制限:個人情報を第三者に提供する場合は本人の同意を得る開示・訂正・利用停止:本人から個人情報の開示・訂正・利用停止の請求を受けた場合は遅滞なく応じる 顔認識技術の活用事例顔認識技術は市場拡大すると予測されていますが、さまざまな分野で活用され始めています。どのような分野で活用されているかをご紹介します。不正防止店舗の万引き被害は深刻な問題となっています。このような不正防止対策にも顔認識技術が活用されています。従来の防犯カメラに顔認識の技術を搭載しておけば、万引き犯が来店した際に自動通知してくれて、万引きの再犯を防止することができます。このような不正防止システムに、顔認識技術が搭載されるケースが多いです。マーケティング顔認識技術はマーケティングにも活用されます。商業施設の来店客数や混雑度を顔認識技術を活用すれば、自動測定できます。測定結果をAIで分析すれば、1日の来店者数が予測できて忙しい時間帯のみスタッフを増員するなどマーケティング戦略が練ることが可能です。商業施設やスーパーなどで顔認識を活用したマーケティングが開始されています。認証顔認識は入退室認証に利用できます。現在は、社員証一体型ICカードを配布している企業が多いです。この社員証ICカードは盗難されると「なりますし」による入室がされます。また、社員証ICカードの再発行の手続きも手間がかかってしまうでしょう。このような問題は、社員証ICカード認証から顔認証に切り替えれば解決できます。近年では、スポーツジムの受付無人化、スマートフォンのログインなどにも顔認証が活用されるなど、幅広い分野に適用されています。決済顔認識を活用した決済手段も登場しています。国内では顔認証決済は普及していない状況ですが、米国では無人店舗「Amazon Go」が完成しており、顔認証決済が利用されています。顔認証決済を導入した店舗ができれば、従来のようなレジ打ちのスタッフは必要なくなるでしょう。見守り日本は少子高齢化社会であり、医療や介護の需要は増加しています。高齢者が安心して暮らせるように、さまざまな見守りサービスが登場しています。介護施設では介護福祉士が目を話している間に入居者が無断外出しないかを監視。無断外出を検知したら、自動通知してくれる見守りサービスが登場しています。補足:コロナ感染対策感染症で注目を浴びる新型コロナウイルス感染拡大の影響で、コロナ感染症対策が呼びかけられました。コロナ感染症対策に大きく貢献したシステムにも顔認識技術が搭載されていました。顔認識技術が搭載された非接触による温度測定システムの登場により、顔認識技術の認知度が上がりました。顔データの作成事例「家族の幸せを生み出すあたらしい社会インフラを世界中で創り出す」ことをパーパス(存在意義)として、保育・育児関連の社会課題をDXを通じて解決するChildcare-Tech領域のスタートアップであるユニファ株式会社。「スマート保育園®」というコンセプトを掲げ保育者の方の業務負担削減につながるソリューションを提供されている中で、一部サービスで活用するための表情認識モデルの開発に、約6万件の顔(表情)データのアノテーションが必要でした。表情の合間に明確な境目がなく、その定義づけが非常に難しい中、FastLabelのプラットフォームを活用しリアルタイムに認識のズレをなくしながら、品質の高いデータ作成することができ、結果AIの精度も2,3割向上をしました。ユニファ株式会社様のFastLabel活用事例はコチラからお読みください。まとめ今回は、顔認識技術の仕組みについて詳しく解説しました。顔認識技術の市場規模は拡大すると予測されており、さまざまな分野で活用されています。しかし、顔認識技術は利用環境や撮影環境で精度が変わるため、高品質の画像データを大量に登録しておかなければいけません。米国では顔認証技術向けのオープンデータセットが公開されていますが、日本向けのデータセットは少ないのが原状です。このような現状が顔認識システム開発の課題となっています。FastLabelは、顔認識システムで必要なデータ収集・データ作成を支援している会社です。これまで多種多様なAIシステム開発を支援してきました。そのため、顔認識システム開発のための画像データ収集・作成にお悩みの方は、ぜひ『FastLabel』までご相談ください。