調査会社IDCの報告書では、2020年の国内のAI市場規模は約1,580億円。年間平均成長率25.4%で推移して、2025年度に約4,910億円に達すると言われています。AI市場は拡大する一方で、AIを活用できる人材不足の問題は深刻化しています。このような背景により、経済産業省では2030年までに約62万人のAI人材を育成すると発表されました。この記事をご覧になられている方は、AI開発したいと思っているのではないでしょうか?AI開発する上でも知識は必要です。そもそも、AIの定義とは何なのだろうか? AIはどのような仕組みなのだろうか? AIはどのように活用されているのだろうか?この記事では、AI学習の定義から仕組み、活用方法までわかりやすく解説します。AIとはAI(Artifical Intelligence)とは、別名「人工知能」と呼ばれており、人間が持つ知覚や知性を人工的に再現する技術をいいます。AIを活用すれば、全てのことに対応できるわけではありません。2021年10月時点で汎用的人工知能のAGI(Artificial General Intelligence)は登場していません。AGIの開発に向けて、さまざまな研究が行われている状況です。しかし、AIは各分野に活用されており、販路拡大や業務効率化に貢献しています。AIと機械学習、ディープラーニングの違いAIの専門用語は、機械学習やディープラーニングと間違われて使われることがあります。そのため、3つの専門用語の違いについて把握しておきましょう。AI:人間が持つ知覚や知性を人工的に再現する技術。機械学習も含まれている機械学習:AIがデータから特徴を分析して、経験則で高い精度で予測・分類するシステム※エンジニアが指示したデータを参考に予測・分類しているディープラーニング:機械学習に新たなメカニズム(ディープラーニング)を追加したシステム※エンジニアの指示がなくても過去の経験則を参考に予測・分類ができるAI学習の仕組み次に、AIが機械学習して動く基本的な仕組みについて解説します。1.データを準備するまずは、AIモデルに読み込ませるためのデータを準備します。データ収集方法として以下の方法があります。【データ収集方法】自社収集・クローラー・アプリ・オープンデータ・BPO(代行サービス)オープンデータは便利ですが、ラベル付けが100%正しいわけではありません。そのため、オープンデータを活用する場合はデータクレンジを行う必要があります。また、競合優位性を持たせるために、独自データの収集も行うようにしましょう。データ収集方法の詳しいコツに関しては「AI活用・分析には必要なデータ収集が鍵!AI開発で抱える課題とは?」を参考にしてください。2.アノテーション業務の実施AIモデルに読み込ませるために、用意したデータにラベルを付けて教師データを作成していきます。この業務をアノテーションといいます。AIモデルには、膨大な高品質の教師データが必要となります。そのため、アノテーション業務は効率化をしていきましょう。アノテーション業務に関する詳しい情報は「アノテーション業務とは?精度向上と業務効率化を実現するポイント」を参考にしてください。3.学習・起動作成した教師データをAIモデルに読み込ませていきます。教師データを読み込ませていけば、アルゴリズムはデータに基づき正誤判断が行えるようになります。教師データを学習をさせたら、必ずテスト評価を行いましょう。テストデータを読み込ませて、正確にデータ判別できるかテストを実施して精度を確かめたらAI開発の完成です。 AI学習の活用方法AI学習は多種多様な業界で活用されています。どのようなシーンで活用されているかを確認しておきましょう。商品レコメンデーション:サイトに掲載されている商品の中から、ユーザーの嗜好と合致するものを表示する棚割管理:AI学習を用いた画像認識により棚割管理業務の効率化を実現する外観検査:人の目視で行われていた外観検査業務をAIで自動化・効率化する無人化施工:自律制御型重機にAIを組込み、高精度で安全な自動施工を実現する万引き防止:画像認識により万引き犯を自動的に発見して店舗スタッフへ通知する安全監視:作業現場に設置した監視カメラで取得したデータをAIが分析して異常を検知する物体追跡:物体追跡による映像解析によりスポーツ競技の強化を行う AI開発に必要なプログラミング知識AIは多種多様な業界で活用されていることを理解して頂けたと思います。実際にAI開発をしたいと思った方もいるのではないでしょうか?AI開発に興味を持った方は、以下のプログラミングを勉強しましょう。PythonAI分野で主に使用されているプログラミング言語が『Python』です。AIの機械学習には高度な数値計算が必要となりますが、Pyhonは数値計算に活用できるライブラリが充実しています。1991年にグイド・ヴァン・ロッサムにより開発されたプログラミング言語で、組み込み系からWeb系、AIと幅広い分野で活用できます。文法がシンプルでありながら豊富富で実用的なライブラリ、フレームワークが用意されているため万能型のプログラミング言語として認知されています。C++コンピューターを素早く動かせて、AI開発にも必要不可欠なプログラミング言語が『C++』です。C++はプログラムの実行速度がありOS制御ができるため、さまざまなシステム開発に応用ができます。C++は言語仕様が複雑なため、プログラミング初心者は難しく感じてしまう恐れもあります。オブジョクト指向型のプログラミング言語のため、概念を覚えるために時間がかかってしまうでしょう。SQLAIの機械学習では高度な数値計算が行われて、データベースから必要なデータを取り出さなければいけません。そのため、データベースを操作するためのプログラミング言語『SQL』が必要となります。データベースにはOracle、MySQL、PostgreSQL及びSQLiteなどがありますが、それぞれSQLで操作が可能です。データの検索・追加・更新などに必要不可欠な言語のため、AI開発する上でSQLの知識も必要となります。TensorFlowTensorFlowとはGoogle社が開発するディープラーニング向けのフレームワークです。ニュートラルネットワークを実装するための機能がオープンソースで提供されています。その他にもAI分野のフレームワークは存在しますが、ドキュメントが多くてトレーニングサポートが充実していることが特徴です。モデルの抽象度もさまざまなものがあるため、非常に便利なフレームワークとして支持を集めています。 PyTorchPyTorchとは、FacebookのAI開発研究グループAI Research labが公開したPython向けのライブラリです。2016年からオープンソースとして公開されています。PyTorchを活用すれば、Pythonのプログラミング言語を簡単に書けます。AI開発を効率化するために学びたいフレームワークです。 補足:AutoMLを活用する方法もあるAI開発に必要なプログラミング言語、フレームワーク、ライブラリをご紹介しました。しかし、AutoMLを活用してAIモデルの設計・構築する方法も登場してきました。AutoMLを活用すれば、反復的な機械学習が自動化できます。別名で『自動機械学習』と呼ばれており注目度が集まっています。 AI開発の学習方法これまでAIの仕組みやプログラミング言語について解説してきましたが、実際に学んでみたいと思った方もいるでしょう。AI学習に関しては、以下の場所で学べます。ぜひ、興味がある方はAI開発に関する学習を始めてみてください。 専門学校AI分野を学べる専門学校に行けば、AI開発に関する知識が身につけられます。専門学校の費用は200万~400万円程度必要になり、学習期間も2~4年かかります。費用と学習時間が必要となりますが、AIに関する幅広い知識が得られることも魅力。また、専門学校を卒業すれば就職先を斡旋してもらえます。例:日本工学院・AIエンジニア専門学校・日本電子専門学校・東京国際工科専門職大学・東京みらいAI&IT専門学校など オンライン学習オンライン学習や場所や時間に選ばずに、好きなときにAI開発に関する勉強ができます。オンライン学習でもカリキュラムが用意されているため、順番に沿って勉強をすれば必要な知識が得られます。オンライン学習の費用は30万~50万程度必要で、学習期間は半年程度です。専門学校と比較すると費用と学習時間がかかりません。しかし、知識や技術の習得は自分の努力次第となり自己管理が必要となります。例:RUNTEQ、COACHTECH、TECH::CAMP、tech boost、侍エンジニア塾など 検定資格専門学校に通う時間と費用がないけれど、オンライン学習では知識が得られたか不安に感じる方は検定資格を受けてみてはいかがでしょうか?AIに関する検定資格に合格をすれば自信がつきます。また、知識と技術の証明になるため就職活動でも役に立つでしょう。例:G検定、E検定、AI実装検定、ITパスポート、基本情報技術者試験、応用情報技術者試験、データベーススペシャリスト試験、統計検定、画像処理エンジニア検定、Pythonエンジニア認定データ分析試験などまとめ今回は、AI学習の方法について解説しました。国内のAI市場規模は拡大する一方で、AI人材不足は悩ましい問題となっています。そのため、AIに関する知識を学べば多くのビジネスチャンスが得られるでしょう。最後に、AIに必要な代表的なプログラミング知識と学習場所をおさらいしておきます。【プログラミング言語】PythonC++SQLTensorFlowPyTorch(※)AutoMLを活用する方法もある【学習方法】専門学校オンライン学習資格検定 ぜひ、これを機会にAI開発の学習を始めてみてください。